標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第291回]

●MYCPU80組立説明書 [V]組立

いよいよ組立作業の説明です。

●[1]RESET及びCLOCK回路
 1−1. ICの取付け


下の表にしたがって、ICを取付けます。 
ICには、向きがあります。 間違えないようによく注意しながら作業してください。

部品番号 部品名 ピン数
IC176 HC238(*) 16
IC184 HC238(*) 16
IC189 HC238(*) 16
IC190 HC08 14
IC203 HC238(*) 16
IC211 HC238(*) 16
IC225 HC238(*) 16
IC226 HC00 14
IC233 HC04 14
IC234 HC373 20
IC237 HC04 14
IC238 HC161 16
IC239 HC74 14
IC242 HC00 14
IC243 HCU04(**) 14
IC244 HC00 14
IC251 HC123 16
IC252 HC04 14

(*)HC283ではありません。間違えないように注意してください。
(**)ここだけはHCU04です。
部品番号は基板の左上から右へ進むようにつけてありますが、場所によってはある程度上下にずれていることもあります。
なお基板左側のTK80、メモリ回路の部品番号は、メインの回路を終わったあとからの番号がついています。

ICには、向きがあります。 間違えないようによく注意しながら作業してください。
ICはピン数が14ピンのもののほかに16ピン、20ピンなどいろいろな種類があります。
下の図を参考にして、プリント基板に白色で印刷されているマークや部品番号を良く見て、向きをまちがえないように注意しながら実装してください。


部品番号や品名はよく似ているものが多くありますから、うっかりして間違えることのないように十分注意してください。
部品は全て基板の表側から、端子穴に差し込むようにして取り付けます。
白色で印刷されている面が表です。

ICは端子が外に少し広がっているので、そのままでは穴に差し込むことが出来ません(下図)。



そこでICを基板に取付ける前に、机の上などの平らで硬い面に横向きに置いて、ICの端子がほぼ直角になるように上から少し力を加えて整形します。
このとき余り強く押し過ぎると、端子が直角よりもさらに鋭角に折れ曲がってしまいますから、加減しながら力を加えるようにします(下図)。



「U用意するもの(道具)」でも説明しましたが、ICの数も250個以上ありますから、ICを基板の穴に簡単に挿入するための、IC挿入冶具を使うと作業が楽になります。

ICを基板に取付けるときは端子が折れ曲がって穴に完全に入っていない場合がありますから、そのようなことがないかどうかよく確認してからハンダ付けをしてください(下図)。



一般的には、とりあえずICを全部基板にさしてしまってからハンダ付けをするほうが効率的ですが、その場合IC挿入冶具を使って取付けたICは、端子のバネが利いていて、ハンダ付けをするために基板を裏返しても、ICが抜けたりはしませんが、手で直角に折り曲げて取付けたICは、基板を裏返すときに、基板からICが抜け落ちてしまいます。

そうならないようにするためには、ICを基板に差したとき、基板の裏側で、ICが抜けないように、端っこの端子をツメで折り曲げるようにするなどの工夫が必要です。



[注意]ICや抵抗などの端子穴のすぐ近くまでプリント基板の配線パターンが通っています。端子やリード線を折り曲げたときに、配線パターンに接触しないように十分注意してください。

折り曲げたときには接触していなくても、ハンダ付けをする段階で配線とくっついてしまうことがありますから、ハンダ付けをするときにも、配線同士や端子と配線がショートしないように十分注意してください。

ショートしていることに気がついたらハンダ吸取りアミ線やハンダ吸取りポンプでハンダを吸取ります。
ハンダを吸取るためには、ハンダが液状になるまで加熱しなければなりません。
余り長時間加熱しているとICやダイオードが熱で破損してしまいます。
できるだけすばやく行って、パーツに過度に熱が加わらないようにする必要があります。
 
「つくるCPU(MYCPU80)」のプリント基板は、両面スルーホール基板ですから、一度ハンダ付けをしてしまうと、アミ線やポンプを使っても取り外すことは非常に困難になります。無理をすると配線を傷つけてしまいます。
ハンダ付けをする前にもう一度品番や向きに間違いがないことを十分確認してください。

●[参考]ハンダ付けの仕方

ハンダ付けはコツを飲み込んでしまえば難しいものではありません。
しかしいいかげんなハンダ付けをしてしまうと、たとえ1箇所でもハンダの付け忘れや、うまくついていないところがあっても、回路は正しく動作してくれません。
ひとつずつ丁寧にハンダをつけていってください。

ICやトランジスタ、ダイオードなどの半導体部品は、余りハンダ付けをしつこくしていると、その熱で壊れてしまいます。過度に慌ててする必要はありませんが、手際良くすることと、余り何回もしつこく同じところにハンダの付け直しをしないように注意してください。

ハンダゴテが十分に熱くなっている状態で、コテ先を海綿などでぬぐってきれいにしてから、コテ先を端子(または部品のリード線)と基板のパターンの接触しているあたりに当てます。
このとき基板パターンと端子(または部品のリード線)の両方に熱が伝わるように、コテ先を当てるのがコツです(下図)。



この状態で一呼吸(1秒〜2秒)ハンダゴテを当てたままにして、基板パターンと部品のリード線の両方を、溶けたハンダがなじむ程度の温度に加熱しておいてから、ハンダゴテの先と基板のランドパターンと部品のリード線が接したあたりのコテ先に糸ハンダの先を当てます。
するとハンダが溶けてスルーホール穴に流れ込みながら、基板裏に山を作るように盛り上がります(下図)。



基板裏に山のようなかたちにハンダがついたら、糸ハンダとハンダゴテをハンダ付けをしたポイントから離します。

こちらは悪いハンダ付けの例です。


ハンダが少なすぎるか、ハンダを早く離しすぎるとテンプラになってしまいます。
一見するとついているようですが、しっかりついていませんから、導通不良になります。
ハンダゴテのワット数が大きすぎるか、ちょっと安物のハンダ、ハンダゴテを使った場合にはイモハンダになりやすいです。
ハンダゴテは25WぐらいまでのIC用を使い、またハンダはヤニ入りのものを使いましょう。

比較的ハンダ付けに慣れている人で、上の右図のようなハンダ付けをする人がいます。
ランドパターンがまだ見えていて、ハンダが盛り上がっていません。
穴の中にへこんだようにハンダの「底」が見えます。
これもハンダ不足です。導通不良になります。

これとは逆に、あまりしつこくハンダをつけていると、ハンダ過多になってしまいます。



スルーホールは基板の裏と表が導体でつながっていますから、裏側からハンダをつけすぎると、余分なハンダがスルー穴を通ってどんどん表側に流れて、表側でダンゴになってしまいます。

どの程度のハンダの量が適切かは、少しずつハンダ付けをしながら、その都度表側の状態も確認して適量をつかんでください。
少しハンダ付けに慣れてくると、大体の適量がわかるようになってきます。

[ICをハンダ付けするときの注意]
「つくるCPU(MYCPU80)」の基板はスルーホール基板ですから、一度ICをハンダ付けしてしまうと、スルー穴の中までハンダが詰まってしまいます。
普通の道具では、そのようにハンダ付けされたICを外すことは非常に困難です。
ハンダをつける前に、もう一度、品番が間違っていないか、また向きがまちがっていないかを確認してください。

またICをハンダ付けするときは、いきなり全部の端子をハンダ付けしてしまわないで、対角にある2本の端子だけをまずハンダ付けして、ICが抜けかかって斜めになった状態になっていないかどうかも確認してください。
もし斜めになっていても、2箇所を止めただけならば、浮いている方の端子にハンダゴテをあてて、表側から押せば浮きを直すことができます。

問題がないことを確認してから、残りの端子を丁寧にハンダ付けします。
1箇所でもハンダをつけ忘れたり、不完全なハンダ付けをしたり、また回路とショートして気がつかないでいたりすると、正しく動作してくれませんから、早く仕上げようとあせらないで、ゆっくり丁寧に1箇所ずつ確実にハンダ付けをしていってください。
2009.7.28upload

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