パソコンをつくろう!(パソコン自作のすすめ)
組み立てキットを使って自作に挑戦!
当記事は2010年9月から「TTLでCPUをつくろう!」というタイトルの もとにほとんど毎日連載をしてきたものを再編集したものです。 2011.6.17
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☆プロローグ
中日電工代表者である私(菱田)がWindows7に出会い、ながらく休止していたパソコン組立キットを再び企画するに至ったいきさつを書いています。
なぜメーカー品のパソコンではだめなのか。メーカー品のパソコンのどこが問題なのか。
どうして組立キットなのか。
既存のパソコン組立キットのどこが問題なのか。
そういう辺りがテーマになっています。

[第39回]

●組立キットも敷居が高いみたいな…

私の結論といたしましては、パソコンは断然自作すべきもの、だと思いますね。
これがたとえばテレビだとか洗濯機だとか冷蔵庫だとかあるいは自動車だとかというようなマスプロダクツ(量産品)でありましたならば、自作などできるはずはありません。
そんなもののパーツなどどこにも売っていませんし、部品点数もめちゃめちゃ多いところにもってきて、組み立てるためにはそれなりの知識と熟練と専門の工具が必要でありましょう。

しかし、しかしです。
なんとわれらがパーソナルコンピュータの中身は実はガランドウなのです。
いまどきの簡単なモデルで言いますと、パソコンのケースの中には、まずは 1)マザーボード があって、そしてマザーボードの上には 2)CPU と 3)メモリ が載っています(あ。CPUの上には 4)クーラー が乗っています)。
そのほかは 5)ハードディスクドライブ と 6)DVDドライブ があって
7)電源 からマザーボードとハードディスクとDVDドライブに電源ケーブルコネクタが取り付けてあって、
マザーボードとハードディスクとDVDドライブとは信号ケーブルで接続されています。

ええ。
たったそれだけなのです。
組み立てるったって、それらをプラスドライバを使ってネジでケースに固定するだけ。
あとはケーブルコネクタをそれぞれ所定のコネクタに差し込むだけで完成してしまいます。
本当にあっけないくらい簡単です。
たとえばパソコンのハードディスクの交換とかマザーボードの交換をメーカーやお店に頼んだ経験がお有りの方でしたならば、「なんだ、こんなことのために、高いお金を出して頼んだのか」とがっくりきてしまうくらいのものです。

おお。そんなに簡単ならば、ぜひ挑戦してみたい。
なのですけれど。
大都市圏でしたら大抵パソコン自作用のパーツを置いているショップがあると思います。
で、試しにそういうお店を覗いてみますと、これが大変なのですよねえ。
CPUもマザーボードもメモリも、
えええっ、こんなに種類があるの?これじゃ、何をどうしていいのやら、わからないよお。

親切なお店で親切な店員さんに聞いたら、あるいはていねいに教えてくれるかも知れません。
そう?
はじめて作る?
え?
何もわからない?

大抵はそこでしばし絶句。
で、ややあって、
じゃあ、ほら、日曜日に組立キットスクールやってるから、これに参加して、一緒に組み立てましょうよ。
てなことになるのでは。

でもそういう便利なショップがまるで無い、地方在住の方などはどうすればよいのでしょう。
通販のショップはいっぱいありますけれど、そういう相談に乗ってくれるようなところは、ありませんでしょう。
そうすると、組立キットの通販を利用する、ということになります。
ネットで検索しますと、いまどきは結構安く販売しているところもあります。

「そういうところから、手ごろだと思う組立キットを入手して、まずは1つ組み立ててみたらいかがでしょう。」
なんて調子で、いくつかのショップのバナーなどをぺたぺたと貼り付けて、
アフィリエイトで小遣い稼ぎをいたしましょう、みたいなサイトもあちこちにあるようです。

ああ。しかし。
その組立キットの中身を覗いてみますと、これがまたずいぶん敷居が高いじゃありませんか。
まずは、初期不良の交換規定。
1週間とかせいぜい2週間。
今度の連休にゆっくり組み立てて…、なんて考えていると、手をつける前に期間が過ぎてしまいます。
あ。これは組立キットに限りません。
別々に購入したパーツでも同じことです。

しかも、しかもです。
組み立ててみたけれど、動かない。うんともすんとも言ってくれません。もしもそんなことになったなら。
でも、そうなったら、一体何が悪いのか、CPUなのか、メモリなのか、マザーボードなのか、あるいは電源なのか、どうやったらわかるというのでしょう。
そんなの、経験者だってわかりませんよお。
経験者なら大抵は同じクラスのCPU、メモリ、マザーボード、電源などを複数所有していますから、それらを使って、あれこれ交換して、どのパーツが不良なのかをつきとめます。
でも、はじめて1セット購入しただけの初心者にはそのすべはありませぬ。
「全部送るから調べてみてよ」
「お客様。申し訳ありませんがそういう場合には別途手数料が加算されます」
そりゃあ、ないんじゃありませんかあ。

そして保証規定のこわいのは。
「お客様の不注意による破損は保証できません」
って、どうして不注意による破損ってわかるのさ。そりゃあいいがかりじゃありませんか。

かりに、不注意があったとしてもだよ。
初心者だよ。
生まれてはじめてさわるんだからさあ。
そりゃあ、うっかりってこともあるでしょうよ。
お医者さんだっておなかの中に道具を置き忘れてしまった、なんて怖い話があるじゃありませんか。
まして、なにもわからない初心者なんだからさ。
不注意で壊すことだってあっても仕方がないでしょうよ。

あ。全くの余談なのですけれど。
不注意。壊す。のキーワードで思い出しました。
もうかなり以前のことなのですけれど、当地のちょいと有名なスーパーに家族で買い物に行ったときのことです。
レジの勘定が済んで、レジの近くのテーブルみたいなところで、カゴから袋に買ったものを入れていましたときに、しょうゆだったか、ソースだったかのビンを持った手がどういう加減かすべってしまい、ビンが床に落ちて割れてしまいました。
近くに居た店員さんがさっと駆け寄ってきました。
「あ。お客様。けがは?」
「いや。それは大丈夫だけど、ビンが割れて、床もこんなに汚れてしまって…」
「あ。それは、すぐに掃除しますから、気になさらなくても結構です」
と、それだけ言うと、その店員さんは売り場の奥に走っていきましたが、じきに割れたものと同じ商品を持って戻ってきました。
「これ、お持ち帰りください」
「え?これって…。あの。もう勘定済んじゃって…。壊したのはこちらの不注意だから…」
「あ。いいです。いいです。お勘定はいただいていますから。どうぞ、このままお持ち帰りください」

うれしいじゃありませんか。
100%悪いのはこちら。
店には何の過失もありません。
そればかりか、客の不注意のために、汚れた床は清掃しなければならないし、ガラス片もしっかり片付けなくてはなりません。
それなのに文句も言わずに、代わりの商品をお持ち帰りください、っていうんですから、そりゃあもう、感激してしまいます。

うむむ。
やっと出来あがったか。
どれ、まずは電源をいれて、と。
お。動いた、動いた。ファンが回り出しましたよ。
あ。あ。あ。いかん。手がすべった。
わ。ドライバーがマザーボードの上に!
わああ。煙が出てきた…。

こういう場合でも、
「あ。いいです。お客様。どうぞ、代わりをお持ち帰りください」
って。
そういうショップは。
ありませんよねえ。
CPUをつくろう!第680回(2010.12.6upload)を再編集

パソコンをつくろう![第39回]
2011.6.17upload
2011.6.18再編集

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