新製品の紹介(プチ連載です)
27C256WRITER組立キット
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たまにはちょいと息抜きで小品も作ってみたいものです。
簡単にチョイチョイと…。
でも、なかなかそうは簡単にはいかなくて、いつものごとく回を重ねてしまうことになるのかも…。
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[第20回]
●JP@コマンドの働き
前回はJP@コマンドの実行によって、CMコマンドやDMコマンドの働きが変わりました。
何が起きたのでしょうか?
というところで終りました。
今回はその続きです。
JP@コマンドは「裏RAM」へのジャンプ命令です。
これは危険なコマンドです。
不用意に使うとシステムが暴走します。
といってもパソコンそのものが暴走したりはしませんから安心してください。
ただ最悪の場合DOS窓(DOSプロンプト)内でキー入力できなくなって、DOS窓(DOSプロンプト)を強制終了(右上のXをクリック)しなければならなくなります。
またND80ZV(ND80Z3.5)はリセットが必要になります。
もっともJPコマンドそのものも危険なコマンドです。
適切なアドレスにジャンプしないと、やっぱり同じことがおきてしまいます。
JP 1033[Enter]
は安全です。
1033はシステムのリエントリポイントです。
すべてのシステムプログラムは終了後はここに戻ります。
ということは、JP 1033[Enter]は何もしないでエントリポイントに戻れ、という命令になります。
では、JP@1033はどうでしょうか。
もしも「裏RAM」の1033にまともなプログラムが何もなかったとすると、上に書いたように暴走してしまうことになります。
しかし前回のように、それ以前に/W256 Sが実行されて、その結果「裏RAM」にもシステムROMがコピーされていれば、JP@1033は表のシステムROMから「裏RAM」のシステムへの入口へのジャンプになります。
それと同時に瞬時にバンクが切り換わって、システムの制御が表のROMから裏のRAMに移行します。
自分で言うのも何なのですが、これは結構すごいことなのです。
その直前まで一切変更不能だったROM版のシステムROMプログラムだったものが、瞬時にして書き換え可能なRAM版のシステムRAMプログラムになって、しかもシームレスでシステムの制御がROMからRAMに移行してしまいます。
前回はその証として、CMコマンドで確認してみました。
本来ならばROMであるはずのアドレス7FF0の値が書き換わったことで、現在システムがRAM上にあって動作していることが確認できました。
システムがRAM上で動作するとということは、システムを書き換えてそれをテスト的に実行してみることが可能だということを意味しています。
もちろん何でもできるということではありません。
当然そこには制約があります。
システムプログラムは複数の処理プログラムで構成されています。
それぞれの処理プログラムは先頭部分に内部へのジャンプアドレスが配置されています。
不用意にここを書き換えるとシステムが暴走してしまいます。
また各処理プログラムは個別または共通のワークアドレスを使っています。
そこを不用意にさわるとやはりシステムが暴走してしまいます。
そんなことを言ったら何もさわれないじゃないか。
ま、そういうことでもありません。
これは上級者向けの機能ということになりますでしょう。
ND80ZV(ND80Z3.5)もMYCPU80も、付属CDROMにはシステムプログラムのソースプログラムが入れてあります。
それをマシン語に変換するためのZ80アセンブラ(8080アセンブラ)も付属しています。
今まではそれは単に参考資料に過ぎませんでした。
今回の27C256WRITERプログラムの組込みによって、さらに進んでユーザーがシステムプログラムを書き換えて、オリジナルのシステムに作り変える、なんていうことも可能になります。
もっとも、そのためには、もう少し詳しいシステムプログラムの情報が必要でありましょう。
●ND80ZV(ND80Z3.5)システムROMメモリマップ
ちっとも詳しくはありませんけれど、とりあえずシステムROMのメモリマップです(2016.2.27現在)。
各プログラムの機能についても、そのうち時間があれば解説などできればよいと思っています。
上級者でしたら、各プログラムの先頭部分にある変数名定義部分と、処理ルーチンへのジャンプ先につけられたラベル名によって、何をしているルーチンかというおおよその見当がつくと思います。
余り適切な例ではありませんが、ひとつの例として、システムプログラムの一部を書き換えて、それをRAM上でテストしてみることにいたします。
●DMコマンドを書き換えてみる
DMコマンドプログラムはZENTRYプログラムの中にあります。
下はZENTRY2Iのアセンブルリストの先頭部分です。
DMへのジャンプはアドレス181Eにあります。
2016/2/15 7:19 zentry2i.txt END=1CED ;;; ENTRY FOR NEW BASIC 03/08/11 8/13 12/5 04/4/25 ;;; 05/08/24 ;;;entry for nd80z3 ;;;10/6/18 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 6/27 6/28 6/29 ;7/1 7/2 7/3 7/23 8/6 ;9/14 ;12/6/23 for ZBDOS 6/24 ;11/20 11/22 ;13/3/31 ;16/2/15 ; ORG $1800 ;;; SINSB=$078D ; PRT0=$1057 ;;; ADISP=$1015 DEDSP=$1018 CRLF=$101B SPJMP=$1024 HDCMP=$1027 WHTDP=$1030 DECIN=$1036 SPCDP=$1039 ASHX1=$103F ASHX2=$1042 ASHX4=$1045 HXDP2=$104B HXDP4=$104E ADRD=$1051 BREAK=$1054 DECDP=$105D BITDP=$1066 ATMKCK=$106C LSRC2=$1075 LSRC0=$1078 CRLF2=$107B SOUT_M=$10AB SIN=$10AE ; ;;; CMDTP=$16DF RGTBL=$1FB8 ;;; CNVT=$56BF CNVTS=$56C2 NEWSB=$56CE ;;; RUN=$2000 RUN3=$2003 ERRDP=$200F ; HELP=$5686 BSSETSB=$56AD HELPSB=$56B6 ; RTRAM=$E239 RAMWR=$E23F RAMRD=$E242 RAMJP=$E245 ;; VTOP=$DFFF LIMIT=$DFFF ; STCWK=$ED00 ; ;;; KEYBF=$F000 TXTS=$F052 CADRS=$F054 SFTCK=$F056 TXTE=$F063 PRTR=$F065 TXTE2=$F066 VEND=$F06A MODE=$F070 DRCTE=$F078 LPSW=$F079 KETA=$F07C BRKAD=$F080 BRKBF=$F082 BRKCK=$F083 HLBF2=$F084 HLBF1=$F08C FLG1=$F092 ACC1=$F093 IXH=$F097 IREG=$F098 SPBF=$F099 PCL=$F09B PCH=$F09C NMEND=$F0B6 DRCTS=$F0CF LCDMK=$F0D9 INTMS=$F0DA INTCK=$F0DB TRSW=$F0DC BSBRKAD=$F0E9 BSBRKA2=$F0ED WRITEP1=$F0FA WRITEP2=$F0FC ;;; ;;; SDATA=$F186 ;;; ATCK=$F1A0 DFLSW=$F1A1 BFNO=$F1A5 LNO=$F1AA ; TXBF=$F200 RAMCK=$F2D1 MODE2=$F2F7 TXTS2=$F2FC TXBFC=$F2FE ; STC=$F500 SPTOP=$F800 ; ATD=$FEE0 ATLN=$FEE2 ATRNMK=$FEE4 EIMK=$FEE6 ;;; ; RST7JC=$FFCC RST7JA=$FFCD ; ;;; 1800 C35418 JP START 1803 C3A318 JP ENTRY 1806 C35219 JP SDTIN 1809 C31510 JP ADISP 180C C3AE10 JP SIN 180F C37C19 JP ASOUT 1812 C31A19 JP LNSRC 1815 C3F618 JP ENT4 1818 C38C19 JP AUTO 181B C3DA19 JP MVDBI 181E C3F219 JP DM 1821 C3621A JP CM 1824 C3D11B JP BP 1827 C3981B JP RT 182A C3F41A JP IN 182D C3D11A JP OUT 1830 C3B21C JP LCDOT 1833 C3B41C JP LINIT 1836 C3B51C JP JPIN 1839 C3B31C JP LCDINSB 183C C3C71C JP RRCOPYSB 183F C30E1B JP RGDSP 1842 C3AE10 JP SIN; from INPUT$ 1845 C3A61C JP SIN_NODTRT; from INKEY$,INPUT$ 1848 C3781C JP LD 184B C38F1C JP SV 184E C3081A JP DMSB 1851 C35A1B JP BROUT1 ;;; 1854 3EEF START:LD A,EF 1856 D398 OUT (98),A;ND80Z3 DMAOFF 1858 AF XOR A |
下はそのDMプログラムの先頭の部分です。
; 19F2 CD6C10 DM:CALL ATMKCK 19F5 CD5110 CALL ADRD 19F8 CD081A DM1:CALL DMSB 19FB CD5410 CALL BREAK 19FE CD2710 CALL HDCMP 1A01 28F5 JR Z,*DM1 1A03 38F3 JR C,*DM1 1A05 C3A318 JP ENTRY ; 1A08 E5 DMSB:PUSH HL 1A09 E5 PUSH HL |
下は同じDMプログラム(ZENTRY2Iプログラムの一部分)のソースプログラムです。
DM:CALL ATMKCK CALL ADRD DM1:CALL DMSB CALL BREAK CALL HDCMP JR Z,*DM1 JR C,*DM1 JP ENTRY ; DMSB:PUSH HL PUSH HL CALL HXDP4 POP HL CALL SPCDP LD B,08 DM2:CALL SPCDP CALL DM2SB DJNZ *DM2 LD A,2D CALL ADISP CALL DM2SB LD B,07 DM22:CALL SPCDP CALL DM2SB DJNZ *DM22 POP HL CALL SPCDP CALL SPCDP LD B,10 DM3:CALL MEMRD CALL DM4 INC HL DJNZ *DM3 JP CRLF ; DM4:CP 20 JR C,*DM5 CP 80 JR C,ADSPJ CP A0 JR C,*DM5 CP E0 JR C,ADSPJ DM5:LD A,2E ADSPJ:JP ADISP ; DM2SB:PUSH HL CALL MEMRD LD H,A CALL HXDP2 POP HL INC HL RET |
その一部分(DM4:以下の部分)を下のように書き換えました。
; DM4:CP 20 JR C,*DM5 JP ADISP DM5:LD A,2E ADSPJ:JP ADISP ; |
もとのプログラムでは、16進数ダンプの右側に表示されるASCII文字のところで、00〜1F、80〜9F、E0〜FFはピリオド(”.”、ASCIIコード2E)に置き換えて表示しているところを、00〜1F以外はそのままASCII文字とみなして表示するように変更しました。
もとのプログラムがそのようになっているのはそれなりに意味があってしていることなので、それを変更することは余りよいことではありませんが、今回はシステムプログラムを書き換えるサンプルとしてそのようにしてみました。
そのように変更したあと、ZENTRYWK.TXTというファイル名で保存し、それをZASMでアセンブルしました。
画面には表示されませんが、アセンブル作業がエラーなく終了すると、マシン語のバイナリファイルZENTRYWK.BINが作成されます。
これでやっと準備が整いました。
それではいよいよテストの開始です。
まずはROM上で普通のDMコマンドを実行して、どのように表示されるかを確認しておきます。
画面右側のASCII文字表示のところで、上で説明した範囲のコードが”.”に置き換えられています。
それを確認したあとで/W256 Sを実行しました。
これでシステムROMの内容が「裏RAM」にコピーされました。
そこまで準備しておいて、/LDコマンドでさきほど作成したZENTRYWK.BINを「裏RAM」にロードしてZENTRYプログラムを上書きしました。
/LDコマンドは0000〜7FFFの範囲を指定すると、「裏RAM」に対してロードが行なわれます。
ここで注意しておきたいことがあります。
/LD,/SVはアドレスが0000〜7FFFの範囲を指定した場合、「裏RAM」に対してアクセスが行なわれます。
そのとき前提として、ROMが選択されていてROM上でシステムが動いているとして実行されますから、/LD、/SVの実行後はROMのシステムに戻ります。
もしも「裏RAM」をアクセスする/LD、/SVの実行前にJP@コマンドで先に「裏RAM」に行っていて、そこで/LD、/SVを実行すると不都合なことが起きる可能性があります。
「裏RAM」をアクセスする/LD、/SVコマンドの実行はROMのシステム上で実行する、と心得ておいてください。
さて、そのように/LDコマンドを実行したあと、念のためにDMプログラムが上書きされたかどうかをDM@コマンドで確認してみました。
このときはまだDM@コマンドはROM上で実行されています。
上の画面コピーで下側に少し見えているアセンブルリストのDM4:のところの通りに、アドレス1A46〜が書き換えられていることが確認できました。
そこまで確認したあと、JP@1033[Enter]を実行して「裏RAM」に行って、DMコマンドを実行しました。
画面右側のASCII文字表示が最初に実行したときと一部異なっていることがわかります。
このようにして変更を加えた「裏RAM」の内容はROMのシステム上で、/SV ファイルネーム,0000,7FFF[Enter]を実行することでバイナリファイルとして保存することができます。
なおJP@で裏RAMに行った後、ROMのシステム制御に戻るには/CSを実行します。
そのようにすることで安全にRAM上のシステムからROM上のシステムに戻ることができます。
27C256WRITER組立キット[第20回]
2016.2.27upload
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