2016.9.21
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マイコン独立大作戦
CRTインターフェースボードの製作

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WindowsパソコンにUSB接続して使う現行方式はそれなりに便利ではありますが、ときとしてWindows
のしがらみから開放されて、小さいながらも独立した一個のパソコンとして機能したいと思うこともあります。
昔はそれが普通のことだったのですが、安価なCRTディスプレイが生産中止となって久しい今日ではそれ
は叶わぬことと諦めていたのですが…。
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[第19回]


●安全フレーム

前回、ブラウン管TVでは画像の左右がカットされるようです、と書きましたところ、それをお読みになった葛Z術少年出版吉崎様からメールで詳しい説明をいただきました。
実はブラウン管TV画面の周辺のカットについては、多分ブランキング部分が表示されないための配慮だろうとは思ったのですが、はっきりした根拠について確認したわけではなかったので、当初はうちのTVが古いからかも、なんて思ったりしました。
2台あるブラウン管TV(まだわが家では健在です)で表示が同じだったので、多分そういうつくりになっているのだろうと推測して前回の記事を書きました。
今回吉崎様から詳しい説明をいただいて、そういうことだったのか、と納得いたしました(ウチのテレビがポンコツだから、ではなかったのでした。納得)。
吉崎様からいただいたメールはこのことについてとても詳しく書かれておりますので、私一人が読ませていただくだけでは勿体無いと思い、吉崎様から転載についてご了承をいただきました。
以下にいただきましたメールをそのまま転載させていただきます。

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TV画面の表示エリアについての記事がありましたので「安全フレーム」について蛇足ですがお知らせします。

放送に使われる映像信号は放送規格なので厳密な規定があります。

表示する側のTV受像機は家電メーカーが放送規格を自社なりに理解して設計しますので画面の表示範囲等に個々のバラつきがあります。

SDのアナログ放送時代はアナログ回路とブラウン管が使われていたので受像機側のバラつきが多かった時代です。

放送映像の全てを少し丸みがあるブラウン管の画面内に表示すると画面の上下左右に黒枠が表示されてしまうので、この黒枠が表示されないようにブラウン管画面より1割ほど大きめに放送される映像を拡大表示していました。

この表示の1割拡大も受像機メーカーの設計によりバラつきがありました。

また、受像機メーカーのサービスエンジニアや家庭の利用者が画面表示調整ツマミを操作するので画面の表示エリアはアナログ的に変化します。

このようにSD映像時代のブラウン管TVの場合は、個々の受像機で同じ電波を受信しても映像の表示エリアが大きく異なりました。

そこで、放送映像を作る側で、受像機側がかなり偏った設定でも放送画面の大事な部分が欠けたりしないように画面の内側に「安全フレーム」という決まりを設けています。

「安全フレーム」は映像信号のハード規格ではなく、映像制作上の決まりです。

SD映像のブラウン管TVの場合は、上下左右が10%拡大表示されると規定しています。

よって、大事な映像要素は画面の上下左右の90%の枠に収まるように映像制作が行われます。

テロップなどは、更に内側の80%の枠に収まるように映像製作が行われます。

この表示枠の制限のことを「安全フレーム」(もしくは「セーフティフレーム」「セーフティゾーン」)と呼びます。

放送局や、業務用の一部のモニターTVには、全映像を確認できるように90%の映像ではなく、100%の映像が映るように設定した特別なモニターTVがあります。

このモニターTVには映像の上下左右の全てが表示され、ブラウン管の上下左右に黒い部分が発生します。

この映像の全部を表示する表示モードを「アンダースキャン」と呼び、対応できるモニターを「アンダースキャンモニター」とも呼びます。

放送局のアンダースキャンモニターには、視聴者側のTVではこの範囲の内側が映りますという安全フレームの位置を示す枠がブラウン管の表面に表示されていました。

家電製品のハイエンドTVでもリモコンで「アンダースキャン」表示の切り替え操作機能がある場合もあります。

昔のSD放送時代に、この「アンダースキャンモニター」でTVニュース番組などを見ると家庭用TVでは表示されない画面の端に制作スタッフが映っていたり、放送局間の連絡信号が見えたりしました。(地方局や中継現場からの映像に切り替えるタイミングを指示する信号)

HD映像の16:9画面の場合は、ブラウン管TVはほぼ使われないので、液晶画面に100%の「アンダースキャン」が表示可能ですが、メーカーの設計によりTV受像機の表示エリアに若干のバラつきがあります。

そこで安全を確保するHD映像時代の規格として、映像制作側ではHD映像の97.5%が液晶TV画面に表示されるとするようにしています。

テロップなどの文字表示はHD映像の95%の内側のエリアで行う規格になっています。

このエリアを越えてテロップやCG表示を行うとTVモニターによっては画面の端ギリギリに表示されることがあります。

16:9の液晶TVの中でも高級機種にはリモコン操作などで「アンダースキャン」表示に切り替えで映像の全画面を表示可能な機種もあります。

詳しくは「安全フレーム」「セーフティフレーム」「セーフティゾーン」で検索願います。

「アスペクト比16:9の画面におけるセーフティゾーン」
(4:3 SD画面のセーフティゾーンについても説明あり)
http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/4-TR-B04v2_0.pdf

今回の「CRTインターフェースボード」ではSD仕様の16:9モニター 通称「ワイドSD」も利用されると思います。

「ワイドSD」というのは、アナログ放送時代の4:3の映像を横に引き伸ばして16:9で表示するローカル規格です。

16:9のワイドSD用に制作されたSD映像を表示する場合は良いのですが、従来の4:3用に制作された映像をそのまま横伸ばしで表示すると違和感がある場合があります。

4:3の従来のSD映像で撮影された風景映像などは横に引き伸ばされてもあまり気にならないのですが、人物が映ると顔も体も横方向に拡大されるので違和感がでます。

アナログ放送時代の映画番組などにあった4:3の映像の上下に黒帯入った「レターボックス」映像を左右に伸ばして、上下の黒帯をカットするなど色々な「ワイドSD」表示方式もあり「ワイドSD」は混乱しています。

「ワイドSD」表示の場合、HD仕様の「安全フレーム」とSD仕様の「安全フレーム」のどちらが適用されるかの厳密な規定は無いようですが、SDからHDへのつなぎ時期に在った16:9仕様のブラウン管受像機は製造されなくなり、液晶のワイドSDモニター時代になったのでHD仕様の安全フレームが準用されるようです。
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吉崎様、詳細なご説明をいただき有難うございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

水平同期回路について書くつもりだったのですが時間がなくなってしまいましたので次回に書くことにいたします。

CRTインターフェースボードの製作[第19回]
2016.9.21upload

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